<div> ＥＰ盤／ウラッハ／モーツァルト・クラリネット五重奏曲／Westminster／PS-5141 </div> <div> <br> </div> <div> ステレオ「世界の名曲」シリーズ </div> <div> モーツァルト W. A. Mozart </div> <div> クラリネット五重奏曲イ長調,K.581 </div> <div> レオポルト・ウラッハ (クラリネット)/ウィーン・コンツェルトハウス四重奏団 </div> <div> <br> </div> <div> モーツァルトがクラリネットという楽器をはじめてみたのは、1763年7才からのパリ、ロンドンへの旅行のときだったようです。この楽器は、1690年ごろ、ニュルンベルクのヨハン・クリストフ・デンナーが考案した楽器で、モーツァルト少年がこれをはじめて聴いた頃は、まだ一般にはあまり用いられていませんでした。モーツァルトは、このデラリネットの音色がたいへん好きだったようで、その後、この楽器が使用できるチャンスには、よくこれを使って、交響曲や喜遊曲を作曲しました。 </div> <div> 25才でウィーンに定住することになったモーツァルトは、そこでアントン・シュタトラーというクラリネット奏者を知ります。経済状態が悪化した晩年には、このシュタトラーからよくお金を借りたこともあり、また一方、クラリネットという楽器の性能や演奏効果について、彼からくわしく教えられ、交響曲や協奏曲でクラリネットのすばらしい効果を得ることもできたモーツァルトは、そのお礼に、クラリネットを主にした作品を2曲、シュタトラーに捧げました。一つは、このクラリネット五重奏曲で、もう一曲は、死期もせまった1791年10月に完成したクラリネット協奏曲イ長調 K.622 です。 </div> <div> クラリネット五重奏曲が作曲されたのは、1789年、33才の年で、死の2年前です。この年の6月、ベルリン旅行から帰ったモーツァルトは、ベルリンで依頼された弦楽四重奏曲やピアノ・ソナタの作曲にとりかかっていましたが、その間をぬってこの五重奏曲は作曲されたようです。そのころモーツァルト家は、妻のコンスタンツェが病気で、ウィーンの南の温泉地バーデンで療養したり、借金のあても、演奏会の計画もだめになったりで、まったく貧乏のどん底という状態でした。 </div> <div> このように、この曲が書かれた時期は、モーツァルトにとって最悪の日々でしたが、生まれてくる作品は、そうしたことをまるで感じさせない、すみきったさわやかさ、清らかさ、優雅な美しさにひたされています。そしてまた、この曲のように、しあわせにみちた流れるような旋律のなかに、あるいは静かに語りあうクラリネットとヴァイオリンの対話のなかに、晩年のモーツァルトの、奥深い心の底にかくされた悲しみの情緒を、ききとることもできます。 </div> <div> モーツァルトの特色のひとつに、木管楽器の音色に対する敏感さ、をあげることができますが、この曲のクラリネットの効果的な用法は、まさに驚嘆すべきもので、この楽器の音色をこんなにみごとに発揮させた音楽は、ほかにないでしょう。柔らかいクラリネットの音色、ことにその低音域の使いかたの妙味、それと弦楽四重奏とのかけあいの対比のみごとさを、じゅうぶんにききとって下さい。 </div> <div> <br> </div> <div> ＥＰ盤は、直径が７インチ(17cm)の大きさで回転数45rpmの盤を指す。片面に５分から８分ほどの録音をすることが可能で、２曲から３曲が収録されている。ＥＰ盤でも１曲しか収録されていない盤はシングル盤といわれ、レコードの穴が大きいものはドーナツ盤といわれている。ＬＰ盤よりも音が良いのだが、収録時間が短いので主にシングルレコードとして用いられている。 </div> <div> <br> </div> <div> 楽しんで聴いていただける商品です。ジャケットに歴史を感じさせる痛みはあります。 </div>